【福岡ものづくり絵日記とは?】
福岡在住のイラストレーター・尾野久子が「福岡のものづくり」に関わる人々を取材した絵日記です。色とりどりの人物たちがつくり出す商品・作品・サービス・ムーブメント。その背景の一端をイラストで綴ることで、より福岡の「もの」に親しみを覚えていただけますように…

Vol.03 「家族のやさしさが詰まったりんご」〜九州りんご村 三翠園 赤地 正志さん・奈々さん〜
2019年11月4日(くもり)
福岡県嘉麻市へりんご狩りに行ってきました。
九州=りんごのイメージがなかったのですが、実は嘉麻市には「九州りんご村」という広いりんご園があり、地元の6件の農家さんが栽培しているのだそうです!しかも市場に出荷をしておらず、りんご狩りに来るお客さまのためだけに栽培されるもの。とても貴重なりんごなのだとか。
とても気になった私は、弟夫婦、姪、父母と一緒にりんご狩りへ。
今回お話を伺ったのは三翠園さん。果樹栽培の歴史は古く、明治時代から梨の栽培を始めていたそうです。りんごの栽培を始めたのは昭和53年。現在は4代目の赤地正志さん・奈々さんご夫婦が中心となって徹底した有機栽培をはじめ色々な事にチャレンジしています。

1.りんご園は、絵本の中に入り込んだようなかわいい風景。
まずはりんご狩りをしよう!ということで…
一歩足を踏み入れた瞬間、広がる景色。

緑色のじゅうたんに、のびのびと枝を広げた葉っぱたち。赤いりんごがたくさん実った様子はとてもかわいくて…

正志さんのお母さまがていねいに摘み方を教えてくれました。

そんなに簡単に摘めるんだ…!実際にやってみると本当にぽろりと取れます。その感覚も楽しくて…

大好きなりんごが目の前にたくさん!姪は嬉しそうに、次から次にりんごを積んでいくのですが…まだまだ熟しきっていないりんごもちらほら。そんな時は、歳を重ねた者の出番。


自然と世代間で会話が生まれるのは、りんご狩りの醍醐味だなあと思いました。

2.地球にやさしく、みんなにやさしく
正志さんのお母さまから、もぎたてのりんごをいただきました。
とってもみずみずしくて、やさしい甘さの果汁がじゅわ〜っと、口の中だけでなく身体全体に沁みわたるようです。
この美味しいりんごは、どうやって作られるのでしょう?
りんごはそもそも「なだらかに傾斜した水はけのよい土地」「昼夜の寒暖差が大きい」場所でよく育つと言われていて、九州りんご村のある嘉麻市の馬見山中腹はまさにりんご栽培に適した場所なのだそうです。
加えて、赤地さんは「美味しさの3原則」として大切にしていることがあります。
「減農薬」であること。「有機肥料」を使っていること。そして「除草剤を使っていないこと」
これは、できるだけ身体にいいものを届けたい、りんご本来の味を味わってもらいたい、という気持ちから。2018年には『環境にやさしい農業で、国の定めた厳しい基準をクリアした生産者だけが認定を受けられる』「エコファーマー」の資格も取得しています。

土から生まれたものを土に返す理念で作った堆肥は栄養バランスも良く
「そうすることで、りんごは甘くなるんですよ」と赤地さんは言います。

摘花剤も使っていません。りんごの木にはたくさんのきれいな花が咲きます。それこそ、桜の花のように。でも、花が多すぎると栄養が分散してしまうため、花が咲いている間に中心となる花だけ残して、他の花は摘んでしまう必要があるのです。この花を摘む作業がとても大変。

「気が遠くなる作業ですが、農薬を使わない方が身体にはやさしい。だからそのぶん、人の手をかけて育てる。」

また、有機肥料や除草剤を使わない土には、虫たちもたくさんやってきます。


三翠園さんのりんごの、やさしい味がする理由がわかったような気がしました。

3.家族が支えるチャレンジ精神
「3年前から、新しい栽培方法を始めたんですよ」
と言って赤地さん夫婦が連れて行ってくれた畑は…

りんご狩りをしたりんご園とはまた違った風景が広がっていました。小さめのりんごの木が、すっと細長く並んで育っています。
これは高密植栽培と言って、りんごの生産量全国2位の長野県がすすめている栽培方法。
「小さい木だから、たくさん植えられるんです」

たくさん植えられるから、りんごの実もたくさんできる。
「木が小さいから、お子さんや車椅子の方も簡単に楽しめますよ」

そして、通常の木は枝が広がり重なるため日陰になる部分が多くなりますが、この栽培方法だと日当たりもよくなるのだそうです。
「より甘いりんごができます」
りんご狩りに来るみなさんにとって、いいことだらけ!
でも、この栽培方法を始めようとした当初、周りは反対の声の方が多かったそうです。他のりんご園の方からは「初めてやし、そんなうまくいかんやろ」「やめた方がよかろ」と。

しかも、この木は通常の1/3しか根を張らない。だから干からびやすいという特徴も。
「絶対育たんやろ」そう言われましたが、何度も長野まで足を運び、技術や栽培における工夫を学んだそうです。


「通常の木は実がなるまで10年かかります。でもこれは3年で実がなるんです」
試行錯誤しながら地道に育て、ちょうど今年がその3年目。

赤いりんごが実るようになりました。
「来年からりんご狩りできますよ」
また、新しい形のりんご狩りが楽しめそうですね。


こうして手間のかかる有機栽培や減農薬に取り組んだり、新しい栽培方法を始めたり…そんな正志さんの姿を奥さま、奈々さんはどんな風に見つめていたのでしょう。


と、笑いながら言う奈々さん。
その一言だけで正志さんを信じてるんだなあ、と感じます。

何度も長野に足を運んだことも、

と、いたっておおらか。
家族ぐるみで果樹園を守ってるんだなあ、とも感じます。

実は高密植栽培を始めるにあたって背中を押してくれたのは、奈々さんのお父さま。
正志さんのお父さまはりんご栽培の経験者であるため、慎重な姿勢だったそうです。悩む正志さん。そこで一言「失敗出来るのも、若いうちだけ!今しかやれんき!」と言ってくれたのが奈々さんのお父さま。

慎重な姿勢で見守ってくれる人がいて、背中を押してくれる人がいて、絶妙なバランスの素敵な家族だなあと思いました。


そんな三翠園さんのりんご狩りはリピーターも多いそうです。毎年足を運んでくださる人もいるし、中には何万円分も摘んで行かれる方も!
「みんなに配るためにたくさん摘んでいかれるんですよ」
市場に出回っていないこのりんごの美味しさを、多くの人に伝えたい!という気持ちがわかりますね。


まるくて赤いりんごは、幸せの象徴とも言われます。
気さくに話してくださった赤地さん夫婦の笑顔は、その言葉そのままを表しているような気がしました。


りんご狩りをしたい!もぎたてのりんごを食べたい方はぜひ三翠園さんへ♪
■住所:820-0321福岡県嘉麻市馬見1659番地
■TEL:.090-3463-1237
■FAX:0948-57-3372
※りんご狩りはできないけれど、三翠園さんのりんごを食べたい!という方は12月まで通販もやっています。お電話でお問い合わせください。

■営業時間:9時〜17時
■料金:680円/kg
■りんご品種と時期
☆夏あかり:8月上旬~ 
☆つがる:8月下旬~ 
☆赤城:9月上旬~ 
☆秋映:9月中旬~ 
☆陽光:10月上旬~ 
☆シナノスイート:9月下旬~ 
☆新世界:10月上旬~ 
☆シナノゴールド:10月上旬~ 
☆ぐんま名月:10月中旬~ 
☆ふじ:10月下旬〜11月下旬まで
※りんご狩りは11月下旬まで!

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